賭けるものは繰り返しの日常と大切な時間。
仮眠や楽しみの読書を削ってでも欲しい「変動」と「熱」…
ソレをくれる人間をずっと探しているが…
中々見つからないのが現実。
ゲイリー・ビアッジ…
彼で担当者もついに10人目だ…たしか…
今までの担当者ときたら見た目もぱっとしない上に
性格もフツー過ぎていて一緒に居てもつまらなかったわけだ。
どうやら彼、ゲイリー・ビアッジは何かが違うと感じた…
俺の勘は良くあたる。
…根拠はない、けど自身はある。
時間が許す限り彼と居よう、と決めた…勝手に。
ココまで気になるのだから…
何か、何か…見つけられるはず、掴めるはず。
ハワードが自問自答しながら、ぼんやりしているのを眺めるように見ている担当者。
担当者、ゲイリーはハワードが遠い世界へ行ってしまっていると思ったのか…
ハワードの前で手をヒラヒラさせたり
顔を覗き込んだり…と
一応、心配をしている素振をしていたが、小声で「あきた」と…
彼の声で我に戻ったハワードが見たのはゲイリーの大あくびだった…
よりにもよって初めて彼から貰った言葉が
『あきた』とはな------------------------
続く。
「名前?必要ありますか?」
不思議そうに首を傾げている担当者をハワードが眺める。
「そりゃ、必要だ…ビジネス・パートナーだろ?君がこれから僕の担当者なんだし」
「ビジネス・パートナー?」
聞いてない…
そう、担当者の男は笑みを顔に貼り付けてはいるがハワードの話を聞いていない。
それでも、なお…
「名前、は?」
茶色い巻き毛に童顔、それに似合わない大人っぽいスーツの色。
ハワードは元々、担当者についても拘っていた。
over 35 で童顔…
仕事のやる気にかかわると言えば相手側は無理にでも探してくれる。
ハワードはVIP。
プログラミングで彼の上を行く者はいないからだった。
「ゲイリー・ビアッジです。」
ハワードのめげないオーラに負けたのか名乗る担当者。
…ハワードなりの繰り返しに対する賭け。
続く。