ハワードの気持ちを知ってか知らずか…
ゲイリーは感情の入っていない瞳を涙で潤していた。
もちろん、涙の理由は『アクビ』…
つまらなさそうな表情をうかべ袖で涙を拭う…しかもダルそうに。
ハワードの視線に気が付いたのか申し訳無さそうに
「私、きのうから眠って無くてね…仕事で」…
『仕事で』を強調したように聞こえた。
ハワードは自分の耳を疑ってみたものの真実は闇の中。
疑われている本人は良い笑顔をうかべているしまつ…
思わずため息が漏れる。
この頑固者は中々、内を見せる気がないらしい…
先の長い戦いになりそうだ。
その事実に満更でもない自分。
…そんな自分にも笑える上、相手の早く帰りたいといったオーラも許せる。
机に置かれた次の仕事と金。
此れが彼の意思だ…
今日の所は彼の不仕付けな意思を汲んで帰してやる事にした。
「----------今日はご苦労さま」
ハワードはゲイリーの肩をポンと叩いてやった。
するとゲイリーはまるで待っていたかのように笑う。
「では、また---------」
と、言い捨て逃げるように部屋を出て行った…
慌てて走る後姿を見つつ、次は何時ごろ会えるのかと
考えを廻らせている間にも…
彼、ゲイリーは器用にも平らな地面に足を取られ
転びそうになりながらも、走り去っていった。
…危なっかしい;;;。
続く。